CLIP CLIPPED!
¥440,000 / 243.73m2
熊本市東区・下南部。
東バイパスから一本入った住宅街の中に、空気の密度が変わる場所があります。
敷地の入口は、緑のトンネルのようなアプローチ。
そして、趣のある門をくぐった先には、ふたつの建物が静かにたたずんでいます。
ひとつは、平成8年築の木造瓦葺2階建て住宅。
延床243.73㎡、5SLDK。広さだけでは語りきれない、丁寧に整えられた空間です。
玄関を抜けると、吹き抜けからやわらかな光が差し込み、
各部屋はどれも上質で控えめな設え。
木の温もりと、整いすぎない余白が、この家に心地よい静けさをもたらしています。
もうひとつの建物は、平成23年築の元・診療所。
146.93㎡の木造建築で、無菌室やエアシャワー、医療用の配管・排気設備など、
本格的な医療施設として設計された、希少な構造をそのまま残しています。
とはいえ、堅苦しさはありません。
天井が高く、自然光がよく入り、床にはピアノ。
現在は、たまにピアノ教室としても使われています。
“治療のための場所”が、“音楽のための場所”へと変わる。
その移り変わりを静かに受け入れる、この建物の懐の深さが印象的です。
ふたつの建物は、渡り廊下でゆるやかにつながっています。
その通路を歩いていると、「使いこなす」のではなく、
「対話しながら付き合っていく」──そんな感覚が自然と芽生えてきます。
建物の外には、手入れの行き届いた日本庭園。
立石、苔、モミジ、飛び石。派手さはなくとも、四季の色彩が静かに移ろう庭です。
どの部屋からも緑が視界に映るように設計されていて、
内と外の境界がほどよく曖昧なのも、この場所の大きな魅力のひとつです。
駐車スペースは10台分ほど。
住まいとしてだけでなく、店舗やギャラリー、音楽教室やアトリエなど、
用途を限定しない“ひらかれた余白”があります。
二世帯住居や、住み込みスタッフとの拠点にも対応できる規模感です。
月額賃料は440,000円(税込)。
数字だけを見ると高額に感じるかもしれません。
けれど、無菌室を含む本格設備、光と音の通る建築、
庭を借景ではなく“日常の一部”として取り込んだ構造。
それらをすべて、ひとつの敷地内に持つという体験は、
決してよくあるものではありません。
この物件は、すぐに「こう使おう」と決められるタイプではありません。
むしろ、見学のあと、帰り道に少しだけ無口になるような──
そんな“余韻のある空間”です。
建築年数:2階建て(戸建) 平成8年3月 店舗・事務所 平成23年4月