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全国リノベ探報

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顔の見える仲間と。自然体な男鹿での暮らし

2024.10.06

ご夫婦で服飾ブランド「Own GArment products」を運営される船木さんご夫婦。
もともと賃貸で借りていたお家を購入し、同じ敷地内の屋根付きガレージを改修してブランド直営店となる、洋服と日用品のお店「縫人-nuito-」を2018年にオープン。
秋田市のデザイン会社See Visions代表の東海林さんにご紹介いただいて、奥さんにお話を伺った。


船木さんご夫婦はお二人とも東京で服飾の専門学校に通い、そのまま東京の会社に勤めていたそう。
2011年の震災の経験、お子さんが生まれたことなどを機に旦那さんの地元にUターンし(奥さんは岩手県のご出身)、2014年に男鹿でブランドを立ち上げられたのだとか。
「自分たちでデザインして生地を仕入れ、縫製まで手がけています。パターンも私が引いて。カットソーだけはミシンが特殊なので、近くにいらっしゃるカットソーの縫製ができる個人の方にお願いしていて、男鹿の中で、顔の見える範囲でつくっています」


「いずれ土に還るもの、50年後100年後にもずっと使えるものというのをコンセプトにしていて、天然素材しか選んでいません。縫い方も、何回も洗濯に耐えうるように丈夫に縫っています」
その一貫した姿勢で生み出された服にさわらせてもらうと、丁寧に、長く愛されるようにつくられているのが見てとれる。



お話を伺った場所は、そうやってできあがった服を直接販売されている実店舗。厳選されたセレクト商品も取り扱われている。
店舗と同じ敷地内で目の前に建つのがご自宅兼メインの作業をする工房で、船木さんご夫婦と縫い子さん2人、裁断の方1人で作業をされているとのこと。

「1枚ずつつくるので大量生産は出来なくて。数がつくれないから、できる範囲でやるという感じですね。ただ、1枚ずつつくるからこそお客さまのサイズに合わせて着丈や身幅とかの修正もできるので、私たちの強みだと思います」

店舗の建物は、もともとは囲いのある屋根つきガレージで、家と一緒に借りていたそう。
「賃貸で住んでいたんですが古い建物なので、あるときお風呂の具合が悪くなっちゃって。大家さんに修理をお願いしたら、今の家賃じゃ難しいと言われてしまい、買うか出るか、みたいな選択に…(笑)」

突然の究極な選択に思えるし、きっと熟考もされたのだろうけれど、
「その時には家のほうの工房で仕事も始めていて卸とかもしていたし、場所もいいしね、ということで購入することにしたんです。それでお金を借りるんですけど、せっかく借りるんだったら、ガレージをお店にしちゃってシャツ1枚でも売れたらいいよね、という感じでお店を構えることにました」と、軽やかに話す。

「でも購入したからといって、そんなに場所に縛られる考え方はなくて。自由に、もっと山のほうに行きたいなっていう展望はあったりしますね。森の中とかね」と、住まう場所の捉え方も軽やか。


左の建物がご自宅兼工房、右の建物が屋根つきガレージを改修した直営店


ご自宅兼工房


直営店「縫人-nuito-」

興味津々で不躾ながら購入価格を聞いてみると答えてくださり(!)、
「ぜんぶで300…(万円)くらいだったかなぁ。奥にもうひとつ建物があったんですが、それは住める状態じゃなかったから壊して」と、60〜70坪くらいの敷地の広さで驚きの価格。
そう思いきや、取材に同行してくれた東海林さん曰く男鹿では珍しくないようで、さらに驚きだった。

お話をお聞きしながら目に入ったのは、それぞれの服に付いているブランド名「Own GArment products」のタグ。
ところどころ大文字になっているが、つなぐと…「OGA」!!
男鹿での生活を営む人が、男鹿に誇りを持っていることが伝わってくるネーミング。
それだけで、いいまちなんだろうなぁと感じる。



「この辺りもいろいろできて、数年で変わりました。こんなに変わると思ってなかったですね。10数年前に帰ってきた時には何もなかった。近所の100年以上続くお肉屋さんのフクシマさんだけが頼りで(笑)。東京での生活とはぜんぜん違いますが、私たちには合っていました。すごくいい。ストレスがないし、子育ての環境もいいです」

船木さん(旦那さん)は、船川で開催されるマーケット「FUNAKAWAひのめ市」(現在は月に一度のミニマルシェ「ひのめ商店」を開催中)や、同エリアのカフェ「TOMOSU CAFÉ」運営の中心メンバーの一人で、男鹿の暮らしが楽しくなるための一翼を担っている。

終始、楽しくお話をお聞きしていて印象的だったのは、朗らかに優しい口調で男鹿での暮らしを話される船木さんの姿。
気負いなく自然体で暮らし、自分たちが住むまちに愛着をもつ。
そんな人がいるまちを訪ねたいと思うし、そんなふうに暮らせるまちに出会いたいと思いを馳せる。


【取材協力】
縫人-nuito- / Own GArment products(船木さん)
WEBサイトInstagram

ヨーロッパの古いワークウェアをデザインベースに50年後、100年後にも残るような流行に左右されない本当に良いモノづくり・愛着を持って永く使ってもらえるような丈夫で丁寧なモノづくりをコンセプトに、デザインから縫製までを自分たちで手がける服飾ブランド「Own GArment products」。
その直営店であり厳選したセレクト商品も扱う、洋服と日用品のお店「縫人-nuito-」。
衣を縫う人であり、衣食住、古いものと新しいものを縫い繋いでいく人でありたいという意味を込めて縫人-ぬいと-と名付けられている。

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株式会社See Visions(東海林さん)
WEBサイトInstagram

秋田市を拠点に、グラフィックデザイン、ウェブデザイン、建築デザインなどの分野を専門にブランディングやアートディレクションを行うデザイン事務所。
男鹿市船川地区ではJR男鹿線終着駅である男鹿駅前の創造拠点「OGA ISLAND PARK HUBAGO(オガアイランドパーク ハブアゴー)」 運営団体に参画。同地区の築90年になる国の登録有形文化財「旧森長旅館」の歴史を継承し宿泊施設として再生・運営を担う(2024年秋オープン予定)。

【文章中の写真・文】ワンダー編集部

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